ピーマンが、グリーンのチェックのマントをたなびかせて、空を飛んでいる表紙絵です。
「ピーマンマン」って「マン」がひとつ余計? とか思いながら、ページを繰ると…

「『おさかな だいすき。
おにくも だいすき。
やさいも パンも
ぎゅうにゅうも、
ぼくたち だいすき。
だいだい だーいすき。』」
って言って、ご機嫌な顔で食べてる女の子、男の子。

「『だけど、だけど、 たったひとつ きらいなものが ある…。
それは、ピーマン。
だって においが くさいよ。 たべると にがいし、ピリピリ からい。
ぼくたち ピーマンだけは だいっきらい』」
おやおや。牛乳だってだいすきって言ってたのに、ピーマンだけはダメ、ですかあ…。

…で、泣くんですね。
「『嫌われちゃった、シク シク』
『かなしくなっちゃう、メソ メソ』みどりのなみだをポロポロながして、ウェーンウェーン。
それをみていた やさいや おなべ。
『なきむしピーマンなんて いやだなあ。 ともだちなんかに なりたくないよ。』」
ああ!最悪です。他の野菜にまで嫌われちゃった…。
ところが…

「みんなが ねている よるのこと。
た、た、た、たいへんだ。
バイキンたちが やってきた。
『へへへ…。おいらはのどいたバイキン。やさいぎらいの子の のどをめがけて それ!』」
まあまあ、大変! 野菜たちも、お鍋たちもブルブル震えているばかり。
「みんなにおされた そのひょうし、ピーマンがスポッととびだした。」
すると…、
「『ぺっぺっ、からくて しびれちゃう』『ムッ、ムッ、くさくてめがまわるー!』とバイキンども。」
見事追い払うのですね。
「『すごいな すごいな ピーマンマンは、よわむし なんかじゃ ないんだね。
なきむしなんかじゃないんだね。ふしぎなちからがあるんだね。
ピッピッピッピッ ピーマンマン。』」

まあ…いつのまに。
嫌われて、悲しくなって、涙を拭いていたはずの布巾をマントにしちゃったりして、ガッツポーズ。
すっかり自信をつけたピーマンマンは、「はらいたバイキン」が来た時にもやっつけてくれるのです。
あ、「ピーマンマン」って「ウルトラマン」とかの「マン」でしたか。
で、最後は、

子どもたちに、ピーマンもだーいすき!って言ってもらえるのですね。
まあ、ね。偏食をなんとかしようっていう意図はいっぱい見えているんですけれど、ね。
「しつけ絵本」的ですけれど、まあ、いいか、と思うのは、言葉のリズムがとってもいいこと。
基本「七五調」のなだらかな語調に乗せて、それが難しい時には「ピッピッピッピッ ピーマンマン」なんて、ちゃんと、言葉遊び的なリズムに乗せて。
読んでいても、聞きていても、心地良い。
この絵本は、子どもが保育園の時に気に入って、借りて帰ったのが購入のきっかけです。
それでも嫌いな子は嫌い!って言うかもしれませんが、ピーマンの「働き」もちょっと横目で見ておくのもいいかなあと思います。