自分の心が沈んだり、何か特定のことが頭を巡ってばかりいる時に、
そんな状態を少しでも変えられないか、と思われたことはありませんか?
なんとなく自分の心が落ち着かないな、と思った時に、
高野山金剛峯寺(こんごうぶじ)の布教師でいらっしゃる浅田慈照尼(じしょうに)に座禅をお願いしたら、
思いを一つの対象に向ける、「止観の呼吸法」を教えていただきました。
思いを一つの対象に向けることで、「智慧(ちえ)」を発動させるのだそうです。
つまりは、智慧を発動させるために、対象を絞り込むこと。を行っているのだという。
「智慧」とは「一切の現象や、現象の背後にある道理を見きわめる心作用」を意味する仏教用語。
(『岩波仏教辞典』岩波書店、2002年10月、第二版、pp.696-697)
え? 椅子に座って座禅? と思ったのですが、これは、足先にまで意識をめぐらせるためのもの。
イメージを伴って行うので、とても分かりやすくやり易いと感じました。
ご紹介したいと思います。
こんにちは。
奈良県市駒市でカウンセリングルーム沙羅Saraを開設している葛原昌子です。
今回は家でできる、止観の呼吸法をお伝えしています。
まずは、椅子に腰掛け、無理なく両足の足裏を、しっかり地に着ける。
目は閉じていても開いていてもどちらでもよい。
ゆっくりと、鼻から息を吸い、口から息を吐く。
鼻から息をゆっくり吸って、喉を通り、肺まで行って、
そこから戻して、口から吐く。
鼻、喉、肺、の位置を自分で確認しながら、
そこに息が届いていることをイメージする。
何回か、繰り返す。
鼻から息をゆっくり吸って、喉を通り、肺に届かせ、胃まで届ける。
そこから戻して、口から吐く。
鼻、喉、肺、胃、の位置を自分で確認しながら、
そこに息が届いていることをイメージする。
何回か、繰り返す。
今度は、息を下ではなく、上に上げる。
頭に届けて、口から吐く。
何回か、繰り返す。
頭に届けて、8の字に巡らせ、
口から吐く。
何回か、繰り返す。
鼻から息をゆっくり吸って、喉を通り、肺まで行って、
そこから戻して、口から吐く。
鼻、喉、肺、の位置を自分で確認しながら、
そこに息が届いていることをイメージする。
何回か、繰り返す。
鼻から息をゆっくり吸って、喉を通り、肺に届かせ、胃まで届ける。
そこから戻して、口から吐く。
鼻、喉、肺、胃、の位置を自分で確認しながら、
そこに息が届いていることをイメージする。
何回か、繰り返す。
鼻から息をゆっくり吸って、
今度は、胃よりもっと先の、足先の親指にまで届ける。
そこから戻して、口から吐く。
鼻、喉、肺、胃、そして足先まで、
そこに息が届いていることをイメージする。
何回か、繰り返す。
もう一度、息を上に上げるのだけれど、
今度は、口から息を吸い、鼻から息を吐く。
何回か、繰り返す。
そして、最後は、両手の掌をグッパグッパして、
現実に戻ってくる。
緊張していたり、何か、心に引っ掛かることがあれば、
8の字に巡らせたり、足先の親指にまで息を届けることができないそう。
どのあたりまで下ろせるか? で、自分の状態を測ることができる、というのです。
なるほどなあ、と思いました。
「やらなければならないこと」が押し迫ってきてパニックになりそうな時には、
その「やらなければならないこと」を細かく「分解」して、
つまりはスモールステップにして、
ひとつひとつ、「これ、やった」「これ、出来た」を自分で確認して、
気持ちを落ち着かせながら進める。
そうすると、「山」のように思えていた案件が、
なんとか少しずつ片付いて、いつの間にか「出来たー!」になっている。
本当は、なんとかできるハズなのに、
自分の心がおじけづいてしまって、
尻込みしてうずくまるのを、なんとかなだめて、やっていって、
はあ〜、やれたね、出来たね、という感じ。
ああ、そうね。そんなふうにして、これまでやってきたね。
仕事にしても。いろんな悩みごとにしても。
そんなことを思いながら、
尻込みしてうずくまってしまっているあなたに、
なんとかできる方法あるよ、と言いたくて、まとめました。