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大丈夫、あなたの居場所はちゃんとある〜小野十三郎の詩「山頂から」〜

2017/06/02
大丈夫、あなたの居場所はちゃんとある〜小野十三郎の詩「山頂から」〜
今朝は初夏の詩を。
「五月の山」が取り上げられているので、ちょっと遅くなったかしらと思いつつ、まだ梅雨前なのでお許しを。
「読書への誘い」第3号で紹介したものです。

        「山頂から」 小野十三郎

 

山にのぼると

海は天まであがってくる。

なだれおちるような若葉みどりのなか。

下の方で しずかに

かっこうがないている。

風に吹かれて高いところにたつと

だれでもしぜんに世界のひろさをかんがえる。

ぼくは手を口にあてて

なにか下の方に向かって叫びたくなる。

五月の山は

ぎらぎらと明るくまぶしい。

きみは山頂よりも上に

青い大きな弧をえがく

水平線をみたことがあるか。

(詩集『太陽のうた』1967年刊)

 

「山頂よりも上に/青い大きな弧を描く/水平線」って見たことありますか?

山頂からすぐ海が臨めて、しかも「山頂よりも上」って言うんだから、そんなに高い山ではありませんね。…ちょっと小高いぐらいの山。

それとも…すぐ近くに海が臨めるわけではなく、遠くに見えている…ということはかなり高い山。

 

どっちだろう?

「下の方で しずかに/かっこうがないて」いたり、「ぼくは手を口にあてて/なにか下の方に向かって叫びたくな」ったりするから、やっぱりかなり高い山なんだろうな。

 

すると、水平線は彼方に見えて、もう波の音なんかは聞こえない。

 

昔、波打ち際に座って、日がな一日、波の音を聞いていたことがあります。

遠くに水平線が見え、ヨットなんかも浮かんでいて、とても夏らしい、爽やかな風景。

 

…のはずだったのですが、水平線って、海側に一歩でも二歩でも近づいたら、もう、さっき見てた「水平線」ではなくなるんだな、と思ったことがあって。

追いかけると、逃げていく…永遠に辿り着けないんだ、と思うと悲しくなって。

 

なんだろう…。こんな風に、10代20代の頃は、何かやたらと悲しかった。

具体的に何かを失くしたわけではないのに、やたら喪失感が強かった。

…この詩とは、対極の世界。

 

この詩は、なにかしっかと大地を踏みしめているようで、山にもずんずんと一気に登っていく力強さがあって、でもなんだか、ひとりでいるような気配で。

 

ひとりでいても、空虚さはないんだな。

「風に吹かれて高いところにた」っている「ぼく」は、「だれでもしぜんに世界のひろさをかんがえる。」境地にいるけれど、この世界に存在する自分を疑ってはいない。

 

この存在の確かさは、どこから来るのだろう?

…この世界に「自分の居場所がある確かさ」のような気がする。

 

…心が落ち着かない時は、この「自分の居場所がある確かさ」を失っている時。

いや、失くした、というより、今まで自分にあったのかどうかも定かでなくなるような…そんな不安定さ。

私はここに居ていいの? と尋ねたくなるような心細さ。

 

当然。居ていいんだよ。あなたの存在するスペースは十分に確保されている。

カウンセリングルームに来られる方は、そんな、自分に対する「不確かさ」を抱えて来られる気がする。

だから、私は「大丈夫よ」とお伝えする。大丈夫、あなたの居場所はちゃんとある。

 

画像は朝の杏樹(アンジー)との散歩で撮った、朝の光が射す街路樹の新緑。

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