「ごびらっふの独白」 草野心平
るてえる びる もれとりり がいく。
ぐう であとびん むはありんく るてえる。
けえる さみんだ げらげれんで。
くろおむ てやらあ ろん るるむ かみ うりりうむ。
なみかんた りんり。
なみかんたい りんり もろうふ ける げんけしらすてえる。
けるぱ うりりる うりりる びる るてえる。
きり ろうふ ぷりりん びる けんせりあ。
じゆろうで いろあ ぼらあむ でる あんぶりりよ。
ぷう せりを てる。
りりん てる。
ぼろびいろ てる。
ぐう しありる う ぐらびら とれも でる ぐりせりや ろとうる ける あんたぶりあ。
ぷう かんせりて る りりかんだ う きん きたんげ。
ぐうら しありるだ けんた るてえる とれ かんだ。
いい げるせいた。
でるけ ぷりむ かににん りんり。
おりぢぐらん う ぐうて たんたけえる。
びる さりを とうかんてりを。
いい びりやん げるせえた。
ばらあら ばらあ。
幸福といふものはたわいなくっていいものだ。
おれはいま土のなかの靄(もや)のやうな幸福につつまれてゐる。
地上の夏の大歓喜の。
夜ひる眠らない馬力のはてに暗闇(くらやみ)のなかの世界がくる。
みんな孤独で。
みんなの孤独が通じあふたしかな存在をほのぼの意識し。
うつらうつらの日をすごすことは幸福である。
この設計は神に通ずるわれわれの。
侏羅紀(ジュラき)の先祖がやってくれた。
考へることをしないこと。
素直なこと。
夢をみること。
地上の動物のなかで最も永い歴史をわれわれがもってゐるといふことは
平凡ではあるが偉大である。
とおれは思ふ。
悲劇とか痛憤とかそんな道程のことではない。
われわれはただたわいない幸福をこそうれしいとする。
ああ虹が。
おれの孤独に虹がみえる。
おれの単簡な脳の組織は。
言はば即ち天である。
美しい虹だ。
ばらあら ばらあ。
(詩集『定本蛙』1948年刊)
まあ…、草野心平は「カエル語」がお出来になるんですね。
そして、ご丁寧に、「カエル語」のできない私たちに、翻訳までしていただいて…というわけではなく、草野心平の「カエル語」風作品ですね。
しかし、よくもまあ、こんなに「カエル語」を連ねたものですね。
私には「ゲロ」としか聞こえなかったものを。
限りなく愛情を持って接すれば、きっと他の人には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえるのですね。ふう〜ん。
素朴で、長閑(のどか)で在ることは、ある意味、「救い」かもしれません。
…確かに、初夏から夏にかけてのカエルのゲロゲロという声は、今生きていることの疑念を全く感じさせないものです。
過ぎ去ったことを悔やみ、まだ見ぬ明日を憂えるのは、今生きていることを謳歌するカエルに悖(もと)ることかもしれません。
あれやこれやが押し寄せてきて苦しくなったときには、カエルに倣って、脳天気に「ゲロゲロ」言ってたら、いいかもね。
いえいえ、冗談ではなく、声を出す、というのは、浅くなっている呼吸を深い息に変えるのに、ちょうどいいんです。
…私も時たまアンジーと「犬語」で話します。
とはいえ、今日はまだいいお天気のよう。梅雨に入るまで、今の爽やかな気候を楽しみたいと思います。
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