隆祥館書店から、イベント案内のお知らせを受け取ったのは12月。
ノンフィクション作家の、夫君の看取りの医療ノンフィクション『透析を止(と)めた日』発刊を記念してのトークイベント開催のお知らせだった。
「緩和ケア」は、がん患者しか受けられない? え? そうだったの?
10年前、歯肉がんに罹った父が「もう、抗がん剤はいい」と言ったので、大学病院の退院を余儀なくされた。
母が「家で看る」と言ったので、私が探したのは「在宅緩和ケア」を行なってくれるお医者さんだった。
私は本の注文と共にイベント参加をすぐさま申し込んだ。送料込みで事前に自宅に本が届くよう手配した。
真っ白な地に、筆者の名前とタイトル「透析を止めた日」のみの表紙。。。
帯には「私たちは必死に生きた。しかし、どう死ねばよいのか、それが分からなかったーー」とあった。
表表紙の裏、見返し部分に付けられた言葉。
夫の全身状態が悪化し、命綱であった
透析を維持することができなくなり始めたとき、
どう対処すればいいのか途方に暮れた。
医師に問うても、答えは返ってこない。
私たちには、どんな苦痛を伴おうとも。
たとえ本人の意識がなくなろうとも、
とことん透析をまわし続ける道しか示されなかった。
そして60歳と3ヶ月、人生最後の数日に
人生最大の苦しみを味わうことになった。
それは、本当に避けられぬ苦痛だったが、
今も少なからぬ疑問を抱いている。(序章より)