9月22日夜の「SONGSスペシャル〜宇多田ヒカル特集〜」の中で、井上陽水がコメントを寄せていました。
彼が選ぶ宇多田ヒカルの曲は、デビュー曲の「Automatic」(1998)と「traveling」(2001)。
最初の方は「切なさとアウトサイダー」、後の方は「ユーモアの裏にある叫び」が感じられるから、というのがその理由でした。
う〜ん…、私はどうだろう?
私が彼女の曲を一曲だけ取り上げるとしたら?
と考えたら、「COLORS」(2006)しかないように思いました。
「青い空が見えぬなら青い傘広げて/いいじゃないか/キャンバスは君のもの」
「もう自分には夢の無い絵しか描けないと言うなら/塗り潰してよ/キャンバスを何度でも」
というフレーズが挑戦的で好きなのですが、秀逸なのが、最後の「今の私はあなたの知らない色」。
昔、付き合っていた人の束縛を感じた時、「今の私はあなたの知らない色」と呟きながら別れるんだろうな、と予感させられたのでした。
そう、自分の色は人に決められるものではないし、自分で何度でも変えていい…。
今はそう思えなくても、自分に必要な時には、自分で決める時が来る…。
そう思っていたら、やっぱり「その時」が来たのでした。
そして、「生きていけない」わけでもなく、何か恐ろしいことが起こるでもなく、私は今も生き続けています。
ということで、この歌は人との関係に息苦しさを感じた時の、「応援歌」のような気がするのです。
9月22日夜の「SONGSスペシャル」で、音楽活動を休止してから6年ぶりに登場した宇多田ヒカルを観ていて、ずいぶん雰囲気が変わったなあという印象を持ちました。
糸井重里との対談形式で番組は進んでいったのですが、その中で糸井が宇多田ヒカルの声を「響いてくる楽器としては、人を切なくさせる」「この人は、この淋しさを伝えるためにこの世に生まれてきたんじゃないかと思えた」と言っているのを聞き、そうか…私も彼女の歌に感じてきたものは「切なさ」だったんだと思い当たりました。
それは「生き辛さ」、と言い換えてもいいものですが。
その彼女が6年の休止を経て、今年一番に発表したのが、NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」の主題歌「花束を君に」だったのです。
スタジオで歌うのは初めて、という触れ込みでした。
朝ドラの主題歌として聞いていた時にも、なんか歌い方が変わったなあと思っていたら、彼女自身、「苦しくない歌い方に変わった」という表現をしていました。
3年前に亡くなった母、藤圭子を想って出来た歌だということですが、通しで曲を聴いた感想は、朝ドラで流れている冒頭部分より、あとの方が断然いい、ということです。
切ないのは切ないのだけれど、なんというか…閉じられた、行き場のない淋しさではなく、どうしようもないことをそれと認めて、そこに在り続ける強さみたいなものを感じました。
「今は伝わらなくても/真実には変わりないさ」のフレーズなどに。
それに続く「抱きしめてよ たった一度/さよならの前に」には、ふと涙が込み上げてきました。
彼女は、赤ん坊を育てることは、自分の根幹を為しながら記憶がなくて空白となっている、自分の原初の時間を埋めていくことに繋がったと言います。子どもに関わりながら「自分もこんな風だったのかな…?」と思いながら。
私は、彼女のように母を「原点」と思う感覚は持てないけれど、彼女の言葉には、はっとするものがありました。
そうか…そうだったね…。
私も子どもを育てながら、同時に、父や母が私に抱いた感情を、どこかで追体験するような気がしてた…。
子どもが大学生になり、「子育て」も一段落したと思った途端、杏樹(アンジー)を迎えたのも、どこかでもう子どもの背中を追いかけてはいけないと思ったからではなかったか…。
仔犬の杏樹を、つい子どもの名前で呼んでしまって、ひとり苦笑してた、そんなあれこれを思い出したことでした。
NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」の主題歌として、宇多田ヒカルの歌が流れていますが、今から16年も前の2000年頃、発売された宇多田ヒカルの「Wait&See〜リスク〜」の歌詞の中に、「変えられないものを受け入れる力/そして受け入れられないものを/変える力をちょうだいよ」というフレーズがあって、ちょっと耳に残ったというか、10代でこんな歌詞かくのか〜!とオドロキだったのですが、あとでこれは元ネタがあることを知りました。
アメリカの神学者ラインホルド・ニーバーが作者とされるもので、「ニーバーの祈り」とも「平静の祈り」とも「静穏の祈り」とも呼ばれるようです。
アルコール依存症克服のための組織や、薬物依存症や神経症の克服を支援するプログラム「12のステップ」によって採用され、広く知られるようになったと言います。
God, give us grace to accept with serenity
the things that cannot be changed,
Courage to change the things
which should be changed,
and the Wisdom to distinguish
the one from the other.
神よ
変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。
変えることのできないものについて、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、できないものとを識別する叡智(えいち)を与えたまえ。
いや、本当にそうですね。
半世紀も生きてきたら、なんでもかでも「努力して」なんとかなるなんて、もう全然思えません。(笑)
なんとかなるものの方が少ないのかもしれないなあ…なんて思いながら、でも、なんとかできるものさえ放っておいて後悔しないために、そしてやっぱり「Tomorrow is Another day(明日はまた違う、別の日)」(「風と共に去りぬ」)と思いたいために、自分にできることを積み重ねようと思うのですね。
あなたにも、私にも、また違う明日がありますように。
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