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  1. コラム
  2. 沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム
  3. 長田弘の詩
 

沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム

沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム
日々の暮らしの中で、ちょっと気づいたこと、ほっと一息つけるようなことがらをコラムとしてまとめました。
あなたの「お役立ち」になるかどうか、心許ないですが、興味を持った「カテゴリー」から読んでみてくださいね。

カテゴリーごとに選べます。
選択
長田弘の詩
2020/10/22
歩くことをたのしむために街を歩く〜長田弘の詩「散歩」(『深呼吸の必要』所収「大きな木」から)〜  
朝。5時過ぎは、まだ暗い。明るかった夏はとうに過ぎた。
冬へと向かっていることを意識させられる。
今朝は…ああ、この詩。

  「散歩」   長田弘

 ただ歩く。手に何ももたない。急がない。
気に入った曲り角がきたら、すっと曲がる。
曲り角を曲ると、道のさきの風景がくるりと
変わる。くねくねとつづいてゆく細い道もあ
れば、おもいがけない下り坂で膝がわらいだ
すこともある。広い道にでると、空は遠くか
らゆっくりとこちらにひろがってくる。どの
道も、一つ一つの道が、それぞれにちがう。
 街にかくされた、みえないあみだ籤(くじ)の折り
目をするするとひろげてゆくように、曲り角
をいくつも曲がって、どこかへゆくためにで
なく、歩くことをたのしむために街を歩く。
とても簡単なことだ。とても簡単なようなの
だが、そうだろうか。どこかへ何かをしにゆ
くことはできても、歩くことをたのしむため
に歩くこと。それがなかなかにできない。こ
の世でいちばん難しいのは、いちばん簡単な
こと。

続き
長田弘の詩
2020/10/20
大事なのは、自分は何者なのかではなく、何者でないか〜長田弘の詩「贈りもの」(『深呼吸の必要』所収「大きな木」から)〜  

朝の、まだ始発の電車が走らない時間。

私は、長田弘の詩集『深呼吸の必要』を開く。

今日の詩は? ああ!これだ。

 

   贈りもの        長田弘

 

 幼い誕生日の贈りものに、木をもらった。

一本の夏蜜柑の木。木は年々たくさんの実を

つけた。種子がおおく、ふくろはちいさかっ

たが、噛むと歯にさくさくと、さわやかな酸

っぱい味がした。立派な木ではなかったが、

それが自分の木だとおもうと、ふしぎな充実

をおぼえた。葉をしげらせた夏蜜柑の木をみ

ると、こころがかえってきた。

 その夏蜜柑の木は、もう記憶の景色のなか

にしかのこっていない。あのころは魂という

のはどこにあって、どんな色をしているのだ

ろうとおもっていた。いまは、山も川原もな

い街に暮らし、矩形の部屋に住む。魂のこと

はかんがえなくなった。何が正しいかをかん

がえず、ただ間違いをおかすとしたら、自分

の間違いであってほしいとおもっている。部

屋には鉢植えの一本のちいさな蜜柑の木があ

る。それは、誕生日に年齢を算えなくなって

から、きみがはじめて自分で、自分に贈った

贈りものだ。

 ときどきアントン・バーウォグイチの短い

話を読む。人生はいったい苦悩に値するもの

なのだろうかと言ったチェーホフ。大事なの

は、自分が何者なのかではなく、何者でないか

だ。急がないこと。手をつかって仕事するこ

と。そして、日々のたのしみを、一本の自分

の木と共にすること。


続き

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