2020年11月13日の「折々のことば」。斎藤純一の言葉。
恐れなければならないのは、アイデンティティを失うことではなく、他者を失うことである。
鷲田清一の解説。
社会のみならず個人の生もまた、おのれの内に葛藤や抗争を宿した複数のかたちをもつ。
単一の価値に凝り固まれば、私たちの思考もまた機能不全に陥ると、政治思想史家は言う。
「他者を失うということは、応答される可能性を失うということ」でもあるからと。
人びとの間に、自己自身の内に、激しい分断が起こるときにかならず思い起こすべきことであろう。
『公共性』から。