大阪・奈良 生駒駅徒歩6分の心理カウンセリングルーム
オンラインでも受けられます
教員歴31年の独自メソッドで、超短期で不登校、夫婦関係、親子関係、職場の人間関係などの悩みを解決
全く効果がなければ返金保証いたします
生駒市元町2-4-20
  1. コラム
  2. 沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム
  3. 絵本の世界
 

沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム

沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム
日々の暮らしの中で、ちょっと気づいたこと、ほっと一息つけるようなことがらをコラムとしてまとめました。
あなたの「お役立ち」になるかどうか、心許ないですが、興味を持った「カテゴリー」から読んでみてくださいね。

カテゴリーごとに選べます。
選択
絵本の世界
2017/10/15
子分のように従える〜きたやまようこ作『ゆうたとさんぽする』〜  
「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズの2冊目です。
あかね書房から1988年に初版が出ています。
今度は黄色い表紙ですが、1冊目と同じくにらんでいます。



やっぱり、犬から始まって。…名前は「じんぺい」だったか。



で、両者の比較が始まります。

「おまえ ぱんつ はく。おれ なにもはかない。」
「おまえ しゃつ きる。 おれ なにも きない。
   おまえ くつした はく。 おれ なにも はかない。
   おまえ ずぼん はく。 おれ なにも はかない。
   おまえ ぼうし かぶる。 おれ なにも かぶらない。
   おまえ くつ はく。 おれ なにも はかない。」
    



あらあら。パンツから、始まって靴まで履いたのは、散歩のためだったのね。
でも、じんぺいが勝手に「おれ さんぽに いく」って。ゆうたは、どうするの?


「おまえ ついてくる。」
…そうか、ゆうたはじんぺいに引かれていくのね。
主導権はじんぺいにある。

ゆうたは子分、ということですか。

パンツをはき、シャツを着、靴下を履き、ズボン履いて、帽子をかぶり、靴を履く。
ちょっと、幼児の「しつけ絵本」的な要素もありますね。
お外に行く時には、こんな風にして準備するんだよ、みたいな。

うちの杏樹(アンジー)も、曲がり角でこんな風にグイッとリードを引っ張ることあります。
こっちに行きたいんだけど、と。
たいていは、そうですか、と引っ張られてあげるんだけど、時折、ダメ、今日は帰るの!と私が引っ張り直すこともあります。
そうすると、ちょっと前足で踏ん張って頑張りますが、私の顔を見て意志が強いことを読み取ると、すぐ諦めます。
…そっか〜ダメなんだね、って感じで。
アンジーの顔のすぐ横に、テロップが出ている気がする時あります。

ちょっとでも、私の方が、まあいいか…的な気持ちになると、それを読み取って、グイッと引っ張ります。
その辺の「ニュアンス」を嗅ぎ取るのは、とても鋭い。

ゆうたくんも、じんぺいに引っ張られてお散歩に行くんだね。
あ、だから、タイトルも「(おれが)ゆうたとさんぽする」なんですね。
…なんだ、主語がじんぺいだったんだ、と今更ながらに気がついたのでした。




絵本の世界
2017/10/12
立場を逆にしてみたら…〜『ゆうたはともだち』(ゆうたくんちのいばりいぬ1)きたやまようこ作〜  
今回は、ちょっとこれは子ども向けじゃないなあと思える絵本を。
「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズ3冊のうちの最初のものです。
奥付を見ると1988年初版発行となっています。
…これは、奈良県立平城高校に勤めていた頃に買ったものですね。
多分、「国語表現」の授業で絵本制作させた時に、いろんな絵本を紹介するのに使ったような気がします。

表紙は、お目々がブルーの、シベリアンハスキーかな? と思わせる犬が、こちらをにらんでいます。
ちょっと、おっかなそう。

まず、ページを繰ると、出だしがこんなふうです。


「おれ いぬ。」
おお〜。…まあ、そうですね。そして、やっぱりにらんでいるとしか思えない。続いて、


「おまえ にんげん。」
おまえ、ですか。「ご主人」ではなく。
こんなふうに、「おれ」と「おまえ」の対比でしばらく進みます。

「おまえ わらう。/ おれ しっぽ ふる。」
「おまえ てで かく。/ おれ あしで かく。」
「おまえ なでる。/ おれ なめる。」
「おまえ たたく。/おれ かむ。」

そして、

「おまえ すぐ なく。/ おれ がまんする。」
と、ちょっと「おれ」のエラさが示されて。
(おしっこするとき)「おれ あし あげる/ おまえ あげない。」


「おまえ なんでも すぐに きく。/ おれ じぶんで かんがえる。」
と、またもや「おれ」の方がエライみたいで。
でもね、こんな面もあるんだよ。
「おまえ ほんが すき。/ おれ ほねが すき。」


「おれと おまえ ぜんぜんちがう。
   だけど すき。
   だから ともだち。」

…全くもって、「おれ」の名前も「おまえ」の名前も出てきませんでした。
タイトルから子どもの名前は「ゆうた」ってわかるけど。
「おれ」の名前は? …なんだか、聞いたら「おれはおれだ」と叱られそうな勢いですね。
さすがは「いばりいぬ」。…なんか、立場が逆転しているような気もするけど。

昔、大阪教育大学教授で、幼児言語を研究されていた早川勝廣先生の月1回の教材研究の会にこの本を持っていったら、「だけど」という逆接に引っ掛かりを感じられたようでした。

「全然違う、だけど、って言うからいかんのやなあ。全然違う、だから、って言わんと。」

「だけど」だったら、違うことが好きになれない前提になっていることになる、というご指摘だったのです。
「だから」だと、違うことがあたりまえで、違うからこそ好きになる、そういう風通しの良さが日本社会には必要ではないのか、ということなのでした。
当時、長く差別問題に取り組まれていらっしゃったからこその視点だなと思い、それで今も記憶しているんだと思います。

久しぶりにこの絵本を開いて、そんな遠い記憶が蘇ってきました。

追記:全3冊と思っていたら、全11巻のシリーズでした。…知らなかった…そんなに増えてたのね。
続き
絵本の世界
2017/10/05
自分にできる精一杯で大丈夫〜『どんなにきみがすきだか あててごらん』  
サム・マクブラットニイ:文、アニタ・ジェラーム:絵の1994年の作品です。
日本語訳は評論社から1995年に。
私は…いつ買ったのだろう? あ、裏表紙に「1997年X’masに Kちゃんへ♡」とありました。



チビウサギとデカウサギのお話。

でも、親子ってわけでもないみたい。

 

 ‘ちいさなちゃいろいノウサギは、おやすみのじかん。

おおきなちゃいろいノウサギのながいみみにつかまって、ベッドへいくところ。’

 

 ‘ちいさなウサギは、おおきなウサギに きいてみたくなった。

「どんなに、きみがすきだか あててごらん」

「そんなこと、わからないよ」と、デカウサギ。’


 

「こんなにさ」

チビウサギは、うでをおもいきりのばした。









デカウサギのうでは、もっと

ずっとながかった。

「でも、ぼくは、こーんなにだよ。」

 

なるほど、それは、うんとだ。

チビウサギは、かんがえた。




こんなふうに、チビウサギは自分の身体を使って、「どんなにきみがすきだか」を一生懸命表現しようとします。

でも、そのたびに、デカウサギの身体の方が大きいから、言い負かされてしまうのです。

 

身体で表現することに限界を感じたチビウサギは、距離で表現しようとします。

「きみのこと、このみちをずっといって、かわにとどくぐらい すきだよ」と叫ぶ。

なのに…

「ぼくは、きみのこと、かわをわたって、おかをこえたぐらい、すきだよ」な〜んて、あっさり返されてしまう。

 

もうねむくて、なんにもおもいつかないチビウサギは、

「ぼく、おつきさまにとどくぐらい きみがすき」と言うと、眠ってしまいます。

 

‘「それは、とおくだ」と、デカウサギ。

「それは、とてもとても、とおくだ」

 デカウサギは、チビウサギを木の葉のベッドに、そっとねかせると、かがんでおやすみなさいのキスをした。

 それから、チビウサギのそばによこになり、ほほえみながらささやいた。

「ぼくは、きみのこと、おつきさままでいってーーーかえってくるぐらい、すきだよ」’ 

 




他愛もない、と言ってしまえばそうなんですが。

私はいつの頃からか、現代文の授業開きは『百万回生きたねこ』で、授業の最後はこの『どんなにきみがすきだか あててごらん』で閉じていました。

チビウサギは、いつもいつもデカウサギにかなわないのですが、でも、それでもいいよね、その時にできる精一杯で、というような話をしたような。

でも本当は、そんな「理屈」より、単に「好きだよ」の連発が、なんだか心地良かったような。

 

子どもにもそんなふうに「だあい好き!」と言いたかっただけだったように、1年間を過ごしてきた生徒たちにも単に「あなた方が大好きよ」と言っておしまいにしたかった、ような気がする。

いろんな生徒がいたけど、もちろん、相性の合う合わないもあったでしょうけれど、1年間、いろんな文章を書かせてきて、ひとりひとりの個性がよくわかって、書くことが得意な人も不得意な人も、それぞれに1年間の成長が見られて、いとおしい気持ちになりました。

…そんなことを、この絵本を読み返して思い出しました。

続き
絵本の世界
2017/09/08
あなたがあなたであること〜『たいせつなこと』ブラウン作〜  
この絵本は、…いつだったか、転勤が決まっての離退任式の檀上で、読んだ記憶があります。
フレーベル館の2001年第1刷発行ですが、私の持っているものは2005年の第23刷。

身近なものを取り上げて、まずは、スプーン。


続き
絵本の世界
2017/09/03
カウンセリングルームという場所〜『かいじゅうたちのいるところ』モーリス・センダック作〜  
私のセンダック歴は『そんなとき なんていう?』に始まって、しばらく続くのですが、今回は一番有名だと思われる『かいじゅうたちのいるところ』。
でかい怪獣が木陰で眠っている表紙です。
1963年の作品ですが、日本には冨山房から1975年に第1刷発行。
私が持っているものは、1997年の第68刷。…随分、出ていますねえ。
この年は子どもが2歳の時なので、多分、子どもに読み聞かせようと買ったのだと思います。


続き
<<  <  4  5  6  >  >>

カウンセリングルーム 沙羅Sara

あなたはあなたのままで大丈夫。ひとりで悩みを抱え込まないで。

明けない夜はありません。

電話番号:090-7594-0428

所在地 : 生駒市元町2-4-20 

営業時間:10:00〜19:00

定休日 :不定休

ルーム案内・アクセスはこちら