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  1. コラム
  2. 沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム
  3. 絵本の世界
 

沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム

沙羅 Sara の「ほっと一息」コラム
日々の暮らしの中で、ちょっと気づいたこと、ほっと一息つけるようなことがらをコラムとしてまとめました。
あなたの「お役立ち」になるかどうか、心許ないですが、興味を持った「カテゴリー」から読んでみてくださいね。

カテゴリーごとに選べます。
選択
絵本の世界
2017/03/30
それぞれの時間を思い出させるもの〜岩合光昭『ねこのとけい』〜  
岩合光昭さんのネコ写真に、言葉が添えられて、ビジュアル絵本のような形で出されています。
2016年1月の第1刷発行で、クレヴィス社です。夜明けの時間から始まり、夕暮れの時間まで。
その時々の猫を撮りながらのコメントが効いています。「あとがき」を紹介します。


頬と頬を寄せているネコたちがいます。朝の光線が輪郭を浮かび上がらせます。さあ、出かけようぜ、という挨拶でしょうか。全身の五感をフルに使って、どちらに行くかを決めているようです。それは日の向き次第であり、良い匂いが漂ってくる方向でもあるようです。また、オスにとっては縄張りへの朝のパトロールの始まりであり、メスにとっては子ネコの待つ巣穴へ帰る合図かもしれません。それぞれのネコにそれぞれの時間があります。
それは時計の単位ではない、わたしたちが忘れてしまっている太陽や月やその他の自然が織りなす一瞬を、ネコの体の動きからハッとさせられるような感覚の時間といってよいのかもしれません。動くことは生きること、生きることは永遠へと引き継がれる命のゆるやかな時、これからも見つめ続けていきたいと思います。

「それぞれのネコにそれぞれの時間があります」。
私たちにもひとりひとり、それぞれの時間があるのですね。普段忘れがちですけれど。
もちろん、社会で生きて行くためには、「決められた時間」に合わせるところも出てきますが、…若いうちは、それが大半でしょうけれど、でも、時には「太陽や月やその他の自然が織りなす一瞬」を感じる時間を持った方が豊かですね。
憂いは、過去に起きた出来事を後悔したり、未来に不安を感じたり、いずれにせよ、「今、ここ」でないことは確かです。
ネコたちは、「今、ここ」にいるからこそ、伸びやかなのでしょう。

最後のページの写真が、またステキなので、紹介します。海を眺めているネコのシルエットです。(「明日があります。」というコメント付き。)




絵本の世界
2017/03/27
ちょっと変わったビジュアルブック〜谷川俊太郎 詩/吉村和敏 写真『あさ/朝』〜  
ちょっと変わったビジュアルブック。「あさ」の表紙から読むと絵本、「朝」の表紙から読むと詩集、という体裁です。

絵本側は、「だれよりもはやく めをさますのは そら」から始まり、「おひさまのてがふれると よるははずかしがって あかくなる」と続きます。夜明けの一瞬一瞬を、刻々と変わる、その色合いを留めた写真とともに、「朝の進行」を描写していきます。

詩集側は、谷川俊太郎の朝の詩のオンパレード。まずは「朝  1」という詩から始まります。


    「朝  1」

  朝は曇りたり
  雲厚く過ぎたる夜を隠せり
  かくして今日もはじまりぬと
  幼い希(のぞ)みは呟くのだがーー

  始まるに時なく所なし
  私が生き
  私が日日を殺してゆく
  ただ心のみをあふれさせて

  私はあふれる心を信ずる
  その無意味な涙を私は信ずる
  不安や証しについて何ひとつ知らぬままに
 
  朝は曇
  万象  未だ夜を残して黙する中に
  心あふれたり貧しきものの心あふれたり       (初出『六十二のソネット』東京創元社)


引き続き、中学校の教科書教材にもなった「朝のリレー」。


      「朝のリレー」

  カムチャッカの若者が
  きりんの夢を見ているとき
  メキシコの娘は
  朝もやの中でバスを待っている
  ニューヨークの少女が
  ほほえみながら寝がえりをうつとき
  ローマの少年は
  柱頭(ちゅうとう)を染める朝陽にウインクする
  この地球では
  いつもどこかで朝がはじまっている

  ぼくらは朝をリレーするのだ
  経度から経度へと
  そうしていわば交替で地球を守る

  寝る前のひととき耳をすますと
  どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
  それはあなたの送った朝を
  誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ      (初出『谷川俊太郎詩集』(日本の詩人17)河出書房)

アリス館から2004年初版で発行されたものですが、2011年の第27刷版が手元にあります。奈良の友人からのお誕生日プレゼントでした。





絵本の世界
2017/03/22
『リトル ターン  Little Tern』  
ブルック・ニューマン作、リサ・ダークス絵、五木寛之訳で、2001年に集英社から出版された絵本です。
当時、五木寛之訳ということで、大々的に宣伝されていた記憶があります。
「リトル ターン」とは「小アジサシ」のこと。
ある小アジサシが、或る日突然、飛べなくなって…ということで物語は始まります。

主人公の小アジサシの「ひとり語り」という形で進んでいくのですが、この小アジサシくん、やたらと理屈っぽい。
非常に哲学的に自己分析していくのです。
あれこれ、翼、羽、脚…と自分の「部品」をチェックするのですが、どこも異常なしという結果で、そして早い段階で、次の考えに辿り着くのです。

「そして結局、ぼくは、自分の内面が壊れたとの結論に達したのだ」

…まあ、こうなると、小アジサシ、と思わない方がいいですね。
小アジサシの姿をした人間、とでも。
そして、「飛べない生活」に突入した彼は、飛んでいた頃には気づかなかったあれこれを発見していきます。
そうして、どのようにして飛べるようになったか。…ネタバレになってはいけないので、ここでやめますが、この哲学的な小アジサシに、私は不調に陥った人間の姿を見ました。

これまで当たり前にやってきたことが、ある日突然、理由もわからず出来なくなる。
何がいけないのかと、あれこれ探ってみるけど、一向にわからない。
身体はどこも悪くない、ということしかわからない。
ただ、焦りだけが自分の中で一杯になっていく…。そして、焦れば焦るほど、アリ地獄にはまり込んだアリのように、もっと足を取られて身動きできなくなっていく…。

この小アジサシが賢明なのは、どこも悪くないとわかった後、無理矢理飛ぼうとしなかったことですね。
地面に張り付いた生活を始めたことです。
その生活で発見したことを元にまた、飛べない自分について考える。
これはまるで、「おこもり生活」と同じですね。
学校に行けなくなったら、学校に行くことばかりを考えるのではなく、「学校に行かない生活」の中で、あれこれ考える、というのもアリなのではないか、と問われている気がします。
訳者のあとがきの一部を紹介してこのコラムを終えたいと思います。

「思うに、二十世紀は高く飛ぼうとする時代だった。
いまは逆に飛べなくなって呆然としている鳥たちの時代だ。
そういう時に、この物語が登場するというところがおもしろい。この本は必ずしも多くの普通の人に読まれる本ではないのではないか。
飛べないことで悩んでいる人、急に飛べなくなって困惑している友に、この一冊をそっと手渡したい。」

絵本の世界
2017/03/09
村上春樹 作/友沢ミミヨ 画『またたび浴びたタマー究極の回文五十音かるたー』  
新作発表で今話題の村上春樹の回文作品集です。(新作発表と打とうとして、新作発砲と打ち間違えました。…でも、こちらの方がピッタリ、かも。あれこれ取り沙汰されて大騒ぎ、というのは相変わらず。)2000年第1刷、となっています。回文ですから、前から読んでも後ろから読んでも同じ言葉になるように作られています。

たとえば、「あ」は「ありばいがにがいばりあ」=「アリバイが苦いバリア」。次のページにこの回文から想像(妄想?)される小話が続きます。「アリバイが苦いバリア」は二人の刑事のやりとりが展開されます。…まあ、無理矢理こしらえたお話? という面もなきにしもあらず、ですが、回文カルタから、小話作ろう!という意欲は感じられます。

村上春樹が面白いもの出した、というので、出た当時すぐさま買ったのですが、さて、この本は第何刷までいったのかしら…?

装丁もちょっと凝った作りです。本全体を覆うようなカバーが付けられていて、裏返し文字でタイトルが入っています。                                                                                                                 


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